研究概要 / 研究者の方へ

R-GIRO 矢藤グループ

乳幼児の社会性の研究-科学的根拠に基づく子育て支援のための学融的研究

近年,少子高齢化や女性の社会参加・核家族化の影響によって育児環境が大きく変化し,養育者,特に母親の育児に対する負担感,育児ストレスが懸念されています。また,高齢出産化が進み,妊娠・出産に対する不安も増大する傾向にあるといえます。子どもを取り巻く社会的環境の変化から,子どもの自己制御や協調性といった社会性の育ちも問題視されがちです。

本研究は,胎児期から幼児期までの子どもとその養育者を継時的に調査することによって,養育者の子育てと子どもの発達,それらに影響を与える社会的・物理的環境要因を解明し,親子関係の中で生じるつまずきの早期発見・早期介入を促進する子育て支援システムの開発と社会実装を目的とする長期縦断研究です。本研究は,行動観察および行動計測,質問紙,面接,生理指標など多面的な方法を用いた定量的・定性的縦断データによる領域架橋的発達研究として学術的意義が大きいばかりでなく,科学的根拠に基づく子育て支援のあり方を提案するものとして社会的意義も有するものといえるでしょう。

R-GIRO 岡本グループ

神経科学・生理学手法による「教授-学習」研究 -教育の実効性のための新しい研究アプローチ

本研究グループは,脳活動計測や視線計測などの生理学的な計測手法を用い,主に小学校での算数を対象に,学習者の「学習」活動,教師の「教授」活動の特性を解明することで,適切な指導の在り方を検討することを目的としています。

教育学において,適切な指導を考えるにあたっては,学習者の問題解決過程,教師の指導過程,それぞれにおける思考を分析することが重要となります。そのため,従来,誤答分析,質問紙調査,プロトコル取得などの手法が用いられ,研究が積み重ねられてきました。ただし,本人にも無意識的な側面があることや,本人が全てを記憶できないことから,こうした手法には,客観性を持たせた時系列分析を行うことに困難性がありました。

そこで,本グループでは,従来の手法と併せて,脳活動計測や視線計測などの生理学的手法を用いることで,学習者・指導者の時系列の思考をより客観的な指標によって可視化し,指導の在り方の検討を進めていきます。

R-GIRO 安田グループ

青年期のキャリア発達とその支援―ライフに接近する質的研究法を用いて

本研究グループは,青年期におけるキャリア発達,その時間的連続線上にある社会人の職業アイデンティティの発達を明らかにすることを目的としています。
キャリアについて検討することは「いかに生きるか」を考えること,と私たちは考えています。「いかに生きるか」や「いかに働くか」,長い時間軸における生涯を展望したキャリア形成という観点は,人が幸福なライフ(生命,生活,人生)を追求するうえで必須のものだといえるでしょう。
幸福な人生を追求するため,青年期・成人期のキャリア発達は非常に重要です。本研究グループは,「それがいかになされるのか」,「その支援はいかに可能か」,を追究します。とりわけ,彼らの語り(narrative)に着目し,また,人の生涯にわたる発達と人生径路の複線性・多様性を,社会的・文化的背景を含めて時間経過のなかで捉える質的研究の方法論,複線径路等至性アプローチ(Trajectory Equifinality Approach: TEA)を用いて,研究を進めていきます。

R-GIRO サトウグループ

地域における科学的根拠に基づく壮年・老年期の健康づくり-災害復興と比較文化的視点も加えて

本研究グループは,健康寿命の延伸のために,中・高年者を対象とした地域主体の健康づくりのあり方とその意義について検討することを目的としています。

地域主体の健康づくりは,その地域に住まう人々や文化に応じたものである必要があります。少子高齢化社会を迎えた今,各地域の特色に応じた健康づくりのあり方を研究することは,人々が自らのライフ(生命・生活・人生)をより良く生きることにつながると考えています。また,そうした地域に応じた健康づくりを考えることで,災害時に回復可能な地域づくりにも貢献できると考えています。

本研究グループではこうした観点から,地域住民のQOL(生活の質)調査や被災地に対するフィールドワークを行い,災害時にレジリエント(回復可能)な地域づくり,健康づくりについて検討します。加えて国際比較研究から今日の日本の地域社会や人々の特徴を明らかにし,その成果を合わせることで,日本における地域主体の健康づくりのモデル化を試みます。

R-GIRO 鈴木グループ

少子高齢化時代におけるコミュニティのQOL(生活の質)に関する心理学的研究

本研究グループは、少子高齢化・国際化時代を迎えた日本社会において、シニアライフとコミュニティダイバーシティに関する知見を創生することにより、より幅広い対人援助の方策を探っていくことを目的としています。

日本における65歳以上の高齢者人口は世界の主要国で最高となる3,461万人(総務省統計局、2016)、在留外国人数は我が国の過去最高となる230万人(法務省、2016)を記録しました。現在、日本社会は大きな転換点を迎えており、その中で、個人の健康に加えて、それら個人を抱えるコミュニティを対象として研究を進めていくことは急務であると考えます。

本研究グループでは、高齢者の抑制機能の脳科学的研究、外国人留学生の文化変容とウェルビーイングの心理学的研究、及び、地域コミュニティを対象とした異文化受容に関する研究を行っています。さらに、臨床現場や異文化コミュニケーションへの応用を見据えた悲嘆や感情認知の国際比較研究も行っています。これらの研究活動を通じて、日本社会に貢献できる研究の促進、並びに、海外で活躍できる研究者の育成に努めています。